HarrisonOak’s diary

76年生まれ、妻と息子、娘と犬の五人暮らし。IT系(SAP)の仕事をしている。趣味はギター、マンドリン合奏。

すごい物理学入門(ロヴェッリ著/関口英子訳)

最近は外出機会がめっきり減ったけど本屋へ立ち寄るのは好きで、歩き回っていてふと気になって買うことがある。この本もまさにそうで、恐らくアマゾンやアプリ、ネットサーフィンでも推奨されることはないと思う。小さくて薄い本なので、中身も見ずに衝動買いした。

この本を読んでまず思ったのは、そう言えば昔は西洋では哲学と科学に境はなかったな、ということ。それまでは量子力学や熱力学が題材だったのが、最後の講義のタイトルは「自由と好奇心」。もちろんただの哲学的な命題ではなく、そこから脳科学の話も出てくる。ただ、最終章にこう言う題材が出てくるのは西洋ならではではないだろうか?

同じ最終講義では最後に自然と人類が扱われ、自然の一部である人類はいずれ滅ぶと言うことが出てくる。物理学から始まって科学の総合体みたいな展開になるのが非常に面白い。

物理学的な内容でいくと、この本で初めて「ループ量子重力理論」と言うのを知った。ここでは空間の原子と言うのが出てきて、原子核の1京分の1と言うから途方もなく小さいけれど、超ひもの6次元のひもよりは何となくわかりやすい気がする。

時間と熱力学の関係も面白かった。熱が時間の流れを生むと言うのは考えたこともなかったけれど、考え方としては非常にわかりやすかった。

 

ガリレオ文学賞受賞とあるけれど、正直それがどれほどの価値があるのか分からないし、日本ではあまり売れないような気がするが、こう言う本がこんまりの片付けの本を抑えて総合一位になるあたり、日本と西洋との文化の違いを感じた。