HarrisonOak’s diary

76年生まれ、妻と息子、娘と犬の五人暮らし。IT系(SAP)の仕事をしている。趣味はギター、マンドリン合奏。

タテ社会の力学(中根千枝)

タテ社会の人間関係が1967年で、こちらは1978年の作品。こういうジャンルの本はあまり読んだことがなかったし、当然中根氏の本も初めてだったので、もうちょっと理解を深めて見ようとこちらもネットで中古本をポチッとした。

 

買って正解だったな、と思うのは、まず読みやすい。前作を読んで予備知識があるので、「タテ社会」というキーワードもそうだが、文章の展開の仕方など、著者の癖を多分脳が少しわかったということもあるのだと思う。

 

著者は延長線上ではなく別の視点から見たものだ、と書いているが、やはり延長というか、発展ないし応用のような印象を受けた。前回は「タテ社会」が出来る原因として「場」というキーワードから始まったが、今回のキーワードは「小集団」。前回は「タテ社会」の構造についてそれがどういう性格でどういう事象を起こすか、そこから導き出される人間平等主義やリーダー、人と人がどういう関係を築いていくか、というところがポイントだった。今回は「場」に基づく日本人の最小構成単位である「小集団」について、「個人」を最小単位とする場合との違いやその特色、「小集団」同士やその集合との関わり合いについて理論を展開している。軟体動物的構造、というのは最初目次で見たときはピンとこなかったが、日本人の決断の遅さと一旦決まったら突き進んでしまう危うさを指摘するのになんと適していることか。前回も思ったが、大半のビジネスが西洋に根ざしすぎていて、こういう別の視点を持つのは非常に大事だと思う。

 

なお、本編ではないが付記があるのは、授業が終わった後に改めて本音を聞いている思いがして面白かった。