HarrisonOak’s diary

76年生まれ、妻と息子、娘と犬の五人暮らし。IT系(SAP)の仕事をしている。趣味はギター、マンドリン合奏。

ニュータイプの時代(山口周)

タイトルはちょっとどうかと思っていたのだが会社のセミナーで著者のプレゼンがあり面白そうだと思って購入した。

 

まずなるほどと思ったのは「ひたすらに『量的な向上』を目指せば、すでに過剰にあるモノを次々にゴミにしていくしかありません。」というメッセージ。こういう発想は自分にはなかったが、言われて見れば確かに世の中過剰のモノであふれているというのはそういう見方もできる。

 

社会のVUCA化の進行で挙げられている、経験の無価値化、予測の無価値化、最適化の無価値化というのも気になるキーワードだった。予測の無価値化には計画についても計画的な行き当たりばったりの推奨がされており、まさに経験と計画と最適化が重要視されるシステム開発では改めて肝に銘じる必要がある。

 

もう一点、確かになぁと思ったのが、リベラルアーツの重要性。これは書店を言ってみればビジネス書としてアートや哲学に触れている本が増えていることでも感じているし、各企業で重要視されている「パーパス」なんかも企業として何をおくべきかは文系の知見が必要なのではないか、と思ったりする。

 

この本では触れられていないが、ちょっと気になった点が一つある。寿命の伸長(と仕事をしなければいけない期間の延長)と事業の短命化で複数回のキャリアチェンジを余儀なくされると結論づける一方、経験豊富な年長者に依存するリスクが何度が出てくる。これからますます長く働かなければいけなくなると言われている一方で経験で対処出来ない仕事が増えていくこれから、年齢を重ねた後は何を仕事としていくべきなのだろうか?

高齢化社会を急速に突き進む日本としては、世界に先駆けてニュータイプ時代に適したな高齢者の活用方法を紹介できると素晴らしいのだが・・・。

 

この本も最近のビジネス本の例にもれず、タイトルが非常にわかりやすく整理されていて目次だけを見ていても全体がよくわかる上、セクションごとにまとめがある。それぞれのまとめだけを読んでも理解できるように出来ているのだが、実は注釈もなかなかに面白い。聖書含め多岐に渡る出典に著者の博識ぶりが伺い知れるのはもちろん、本文には入れていないけど伝えたいメッセージもあり、中にはガンダムに出てくるキャラクターの紹介もあり、こういう遊び心も楽しめた。