HarrisonOak’s diary

76年生まれ、妻と息子、娘と犬の五人暮らし。IT系(SAP)の仕事をしている。趣味はギター、マンドリン合奏。

恥をかかないスピーチ力[齋藤孝]

齋藤孝氏の書籍はどれもさらっと読めて、本当に分かりやすく書く人だと思う。じゃあ中身が薄いのかというとそういうことではなく、この本にはスピーチに関する88のテクニックが紹介されている。基本的なところから質を向上させる小ネタの話、コメントを求められた時の対応や様々なシーン別のスピーチテクニックについて掲載されている。ちょっとした時のレファレンスにも使えそうだ。

 

読んでみて思うのは、恥じるな、ということだと思う。人によっては準備をすることなども恥ずかしいものではないだろうか。照れ臭いこともある。しかし、色々なことが書いてあるけれど最も大事なのは目的に向けて準備をするということ。今度大事なスピーチがある時には改めてちょっと見て準備をしようと思った。

HarvardBusinessReview:August, 気候変動/不安とともに生きる[1]

今週のトピックは気候変動だが、予想通りパンデミック関連もあった。今回前半で個人的に面白かったのはこの「人類の進歩が招いた人類の危機」。

 

生物多様性や気候変動と同様に、新型コロナ問題も根っこは「人間活動による過剰な搾取」と主張する。そもそも生態系のピラミッドで高次消費者である人類は本来は500万から1000万頭が限界と見積もられているそうで、大雑把にしても77億という現在の人数は明らかに過剰で、過剰な人口を支えるために過剰なエネルギーの消費を招いている。

著者の解決の方向性で出しているのは都市部集中やグローバル社会からの脱却で、地方ごとに分散して自律型・循環型社会を構築するというもの。確かにテレワークなどを駆使してできそうだけれど、一方でそもそも生態系のピラミッドが歪であることの解決策にはなっていないと感じる。

 

じゃあどうするのか?

 

冗談じゃなくて、やはり地球にいるのは難しくて宇宙に進出していく必要があるのではないか、と思ったりした。あるいは、日本人は少子化で人数が減っていくけれど、それはそれで前向きに捉えてより環境に適応できる、という考え方もできるのでは?なんかも考えたりした。

 

「新しい生活様式」「ニューノーマル」という言葉が飛び交っているけれど、結局は旧来の価値観、旧来の社会構造を無理やり適応しようとしているだけのように感じる。少なくとも今とのところは。これは、変化の始まりであって、ここからどう変わっていくのか、どう変わっていくべきかということを多角的に真剣に議論を突き詰めていく必要がきっとある。

 

目次(〜p83)

  • 経営のニューノーマルを考える
  • 業績評価で順位をつけても従業員の共同を損なわない方法
  • 自分の判断にこだわるべきか撤回すべきか
  • 部下防衛をする上司達
  • 気候変動をイノベーションの機会に変える
  • 米国人は気候変動の問題をどう捉えているか
  • CFOこそ気候変動問題を解決する切り札である
  • 廃棄物削減には業界を超えた協働が欠かせない
  • 人類の進歩が招いた人類の危機
  • いまこそ、地球のOSを書き換えよ

音楽活動における感染症対策について

今日は書籍のレビューではなく、情報の整理。

東京の感染者が増えてきて本当に練習を再開するのか悩ましい状況ではありますが、自分の所属団体の感染症対策を整理するにあたって色々と確認をしたので、まとめた内容を記載します。

東京都や国、そしてメディアには、感染者数ではなくもっと多くのデータや解析の内容をフィードバックして欲しいな、と思います。データはどういう意味があるのか分かって初めて活用できる。例えば4月頃と今の感染者数では意味合いが全然違うはず。検査数や陽性率、重症度。感染症の専門家だけではなく、統計学の専門家特にも分析して欲しいと思います。

 
一般社団法人全日本合唱連盟による「合唱活動における 新型コロナウイルス感染症拡大防止のガイドライン

貧乏国ニッポン(加谷珪一)

確か何かの雑誌で紹介されていたのだと思う。そこまで難しい内容でもなく、さっと読めた。

 

多分知っている人には今更な内容ばかりで、現在の日本が生産性が低く競争力や暮らしやすさなどでも国際的に低いこと、デフレの話。目から鱗という訳ではないけれど勉強になったのは、そもそも経済大国と呼ばれていた時も実質的にはそこまで豊かでなかったということ、製品の競争力が本当にあれば(乱暴に言えば)為替は関係ないということ。

 

他にはホリエモン発言の「お前が終わっている」について「お前」も日本も終わっていると言えるという話や、労働生産性が低いということについての説明はすごくスッキリした。労働生産性が低いということについては、有能な経営者を据えるべきという話と、そもそも外国との格差1.5倍とした時にこれは能力の差ではなく0.5人が実質仕事をしていない状況であるということが書かれている。これはすごく納得のいくことで、やっぱりそこなんだよな、と思ってします。端的にいって仕事をしている人が少ない。しかしそれこそ「タテ社会」でメンバーを感情で縛る社会としてはそういうメンバーを切り離せないため、労働生産性が低い状態から抜け出せない。

 

どうするのか?

 

仕事を生み出していない人達に仕事を生み出してもらえるような仕組みが必要がある。これには教育も必要だし、人材流動性を高める社会的に仕組みが必要だと思う。また、これから未来の働き手達に仕事を生み出さない人にならないよう、もっと教育に投資をするべきだと思う。また、教育に投資するにあたってどうして教育に力を入れるべきなのか、掘り下げた議論が必要になってくるだろう。

楽譜の書き方(平石博一)

自粛になりポチポチと本を買うことがなり、Amazonからの提案で買った一冊。手書きで楽譜を書くことなんてないので実用的かというとそうではないのだけれど、物珍しさと一応抑えておかないと、ということで購入しました。

買ってみると実に専門的(マニアック)!最初の章が「道具と材料」で、ペンについてだけで3ページぐらい説明がある。そこから各種記号の書き方について、書き順まで含めて丁寧な説明があり、なんと製本の仕方も書いてある。もちろん知っていることが多いのだけど、例えば音量記号のpについて譜面では縦棒の下に横棒があるのだけどこれは間違いをなくすため、といったちょっとしたルールが結構面白かった。

 

万人にオススメする本では間違いないですが、個人的には買って満足でした。

HarvardBusinessReview:July, 2020リーダーという仕事[2]

後半はリーダーシップより企業のパーパスの記事が多かった。別に雑誌の構成としてそうはなっていないのだけれど、ソニーの記事から入ったからか、そういう目で見てしまった。

ソニーについては以前外部研修で少しだけ研究したことがあり、その際は今後の企業の方向性をどうしていくのだろう、というところが少し不安になったところがある。パーパス、バリューの構築と「地球の中のソニー」というのは面白かったが、これが軸になって事業、現場に繋がっていくかどうかが鍵なんだろうと思う。

パーパスは確か以前も特集されていたが、この記事はより実践的というか、どうやって事業と成果に結びつけるかに焦点を当てていたので読みやすく、納得感があった。題材にイケアやレゴ、アップルなんかが出てくるのも身近で分かりやすい。

でも一番面白かったのは投資判断に関する記事で、マネージャーがいかにリスク中立になりきれていないか、そしてどうすべきかが書いてある。どうするか、については以前読んだ「ゾーン・マネジメント」が非常に詳しく、実践的だったように思う。

 

後半の記事

  • ソニーは、誰のために、なんのために存在するのか
  • 優れたリーダーが持つ4つの強み
  • パーパスを実践する組織
  • リスク嫌いに贈る投資判断の秘訣
  • 内部昇格した社長が直面する5つの課題
  • ブライアン・ウィルソン

HarvardBusinessReview:July, 2020リーダーという仕事[1]

リーダーシップというと巷に溢れている。複数の記事で共通で書かれていたのは例えば部下を尊重するということ、「問い」の重要性、状況に応じて変化するということ。リーダーシップというと昔はもっと力強く導いていき下はついていくイメージで、力の作用が一方的なのに対し、現代はもっと相互作用的というところが違いのような気がする。まず、リーダーが全てを把握しているということはない。求められることが複雑化、多様化しているので、リーダー1人でが全てを把握というのはそもそも無理なのだ。代わりに相互で働きかけていく必要があり、そのためには自律性・自発性が必要で、上から一方的に与えるのではなく自分で成長してもらうために与えるのは「問い」になる。そして何と言っても昔と違うのは時間、変化のスピードで、短い時間でよりドラスティックに状況が変わるため、状況に応じて判断、あるいは動き方が変わることが求められる。

 

ただ、このことを書いていてふと、これって子育てと同じかも?などと思った。子育てで大事なのは子供を尊重すること、子供に教えるのではなく子供が学んでいけるようにすること、そして成長に合わせて大人も対応が変化していくことで、そうやって考えるとわざわざビジネス本を読まなくても自分の家庭に置き換えて考えてもいいのかもしれない。どちらも実践が難しいというのも同じだ。

 

ちなみにHBRを読んでいると、特集記事以外が面白いことが多い。特集記事は複数の記事があるので多面的な味方ができるのも事実だが。今回はまずAIの話が、これって結局DXのことだよな、と懐かしかったことと、表彰がかえって悪影響を与えるという小さな記事が面白かった。

  

今日読んだ記事: 

伝統企業をAIドリブンに変える方法

自律的な協働を促すリーダーシップ

リーダーの信頼を支える3つの力

リーダーのコーチング能力を高める方法

セキュアベース・リーダーシップ

リーダーは優れた判断力を身につけよ